地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第59回

相談事例(32) 「パートをやめるべきでは?」

 相談室へ来られるお母さんは、やはり専業主婦よりはパートでの仕事を持っておられる方が圧倒的です。朝に仕事で自宅を出るときに、不登校のわが子はまだ起きておらず、「今日も登校しないだろう」という思いでお母さんの気持ちは塞ぎ気味になります。またパートに出ても、もう起きているのか昼食はちゃんと食べているのか、ゲームばかりしているだろうなどいろいろなことが気になり落ち着かず、わが子に過度なラインを送ってしまうこともあるようです。そんなお母さんの悩みは、パートをやめて自宅にいてわが子に寄り添うことが今必要なのか、それともパートは続けて見守るべきなのかと言う選択肢にあるようです。
 この疑問にベストな回答があるわけではありません。パートに従事している如何にかかわらず、寄り添い見守ることは常にお母さんに求められているわけですから、お母さんの日常の言動が確かにわが子の不登校を受け入れている状態ならば、パートをやめるなどの決断が必要ではないでしょう。また、不登校の生徒によっては、「仕事をやめて家にいて欲しい」という子もいれば、出かける母親に「今日は休んでよ」と懇願する事態も多々あるようです。自宅で一人で過ごす不安から逃れられない状況があり、わが子が訴えてくるならわが子の意見をしっかり聞きながら、決断をしなければならないかもしれません。
 しかし、パートをやめることでお母さんは日々何かわが子に対してできることがあるのではないかと考えられるようですが、現実はそうではありません。通学せずにゲーム三昧のわが子と一日中過ごすことは、実はお母さんのストレスを増大させてしまうことも多いのです。言わなくてもいいことまで言ってしまい、わが子とバトルが連日続いたという事例もあります。パートに出ることは、心配なこともあるでしょうがストレスを感じることで言えば、わが子と適度な距離をおくことにもつながるでしょう。一方、不登校の子どもにとっても、お母さんと一日中過ごすことは何かしら監視されている気持ちを味わうことも事実です。なぜなら、不登校という自分の現実を決して正当化しているわけではなく、そんな自分を見られたくないという思いをいだき続けているからです。
 パートをやめるのか、続けるのかと言うより、「寄り添う・見守る」ということについて具体的に何ができるのか、その模索が大切だと思うのです。
 

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