地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第62回

相談事例(35) 「お前の責任や!」と言われ続けて!

 声をかけてもなかなか話してくれなかった状況が続いた高1不登校生の正義君(仮名)でしたが、お母さんの普通の会話への成果が表れてきたのか、ようやく話しかけてくることが増えてきました。しかし、話しかけてくる言葉は強烈でした。自分の生活を台無しにした恨みつらみを延々と話し続けます。「自分が不登校になったのは、全て育てた親の責任だ。」「行きたくなかったのに無理やり行かされた。」「苦しかったのにちっとも気付いてくれなかった。」など、親への批判的な言葉の連続です。
 親御さんにしてみれば、批判されて少しは後悔を感じることもあるかも知れません。また、記憶になく身に覚えがないことまで言われている自分に、落ち着いた対応ができる親御さんが少ないのも無理からぬことだと思います。お母さんは正義君の言い分に、ひとつひとつ丁寧に説明・反論したのですがバトルは続き、お母さんの反論は大人として正しい反論の内容であったとしても、収拾がつかない状況は続くばかりなのです。
 正義君は自分の主張が実は言いがかり的な無茶な内容であることは、ある程度分かっているのです。分かっていながら、言わずにはいられない思いがあります。正義君は自分の苦しさや悲しさを伝えようとしており、お母さんの説明を求めているわけではありません。お互いがより良いコミニケーションを築こうとした時、私たちは互いの主張を分かりあえることが大切と考えます。でも、正義君にとってそのスタートは互いの理解ではなく、まず自分の主張や思いを受け入れてもらえることなのです。
 ですから、真正面から反論せず、とにかくきちんと本人の主張を聞きましょう。いいかげんな態度や、面倒くさそうな態度はタブーです。しっかり本人に付き合って欲しいのです。「最後まで聞いてもらった。」という思いを本人が持てば、聞いてもらった満足感が本人の態度を軟化させることへと繋がります。
 恨みつらみは本人の本心ではありません。それは表現を変えた苦しみと悲しさであり、分かって欲しいというストレートな思いを伝えきれないもどかしさに他なりません。「我が子が自分を恨んでいる!」という思いにうろたえる必要はないのです。

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