地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第63回

不登校とゲーム依存症①

 世界保健機構(WHO)は、ゲーム依存症を病気として認定しました。心療内科医増田クリニック院長によれば、「生活の中でゲームを最優先し、学業などに支障が出てものめり込む。それが1年以上続く状態」が診断基準だそうです。相談室に寄せられる不登校相談の中でも、不登校の生徒が自宅でゲーム三昧の日々を送っていることへ改善策について、事態が相当深刻である内容が増えてきています。
 先日の中3生の相談では、食事もとらず入浴することもなく、ひたすらゲームに向かい合っているうちに、ついには健康上の問題で入院加療しなければならない事態まできていた内容でした。過去には、ゲームを取り上げたり、約束事を作ったりしたそうですが、ゲームにのめり込んでいく我が子を止めることはできなかっと親御さんは嘆いていました。
 不登校になり、日々ネガティブな思考の中で過ごしているこどもは、不安が大きく自信もなく過ごしています。ゲームはその思考から逃れることができる方法であるとともに、ゲーム場面で味わえる達成感は、自己肯定感へと繋がっていきます。さらに、今のゲームには最終到達点がありません。1960年代後半に流行したボーリングは、一時急激に衰退しました。それは、300点と言うパーフェクトスコアに誰もが近づけるようになったからです。でも今のゲームには終わりがないのです。故に「夢中になる」というレベルではなくもはや「はまり込んでいる」と言ったほうがいいでしょう。
 では、ゲーム三昧の日々を送っている我が子が、このままではゲーム依存症になるのではないかと言う分岐点があるはずです。いろいろな点があろうかと思いますが、相談事例から言えば、そのひとつは食事をしながらもゲームをしているかどうかでしょう。この段階に来ると、ゲーム依存への入り口にいると言っても過言ではありません。この状態をスルーさせていては、もはや食い止めることはできないと、親御さんも覚悟を決めて取り組まなければなならないのです。では、どういう働きかけでわが子をゲーム依存から救うのか、次回から事例をもとに報告したいと思います。

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