第65回
こちらの働きかけに無反応なわが子! 高校2年生の享司君は、中学3年の3学期から欠席が目立つようになりましたが、何とか進学校として有名な地元の公立高校に入学しました。しかし、学習のペースが速いことや周りの学力の高い生徒に圧倒され自信を失い、1年生の間はなんとか登校し定期テストも受けて単位を修得し、かろうじて2年生に進級しましたが、別室登校や別室での定期テストを受けるなどを経て7月には完全な不登校生活になってしまいました。
親御さんは普通の会話を試みようとしますが、彼は自室をバリケード状態にし、親御さんらがリビングにいる間は決して自室から出ず、食事も家族が寝静まってから夜中にとっています。親御さんがラインを送っても既読はつくものの返信は全くありません。話せないならとメモを部屋に入れても、破りすててしまうようです。しかし、彼は全く外出しないわけでもありません。好きなグループのライブに行ったり、夜中にジョギングもしているようです。ある日、高校の教材や昔のアルバムをすべて廊下に放りだしたそうです。また、親御さんに分かるように楽天の買い物かごにパソコンの購入機種を入れたそうです。不登校の初期は、本人は落ち込み自信をなくし考えすぎてしまう世界に入ってしまいますから、自宅での少しの快適さが必要となりますが、享司君は落ち込みながらも確かな行動がありますから、何かを訴えようとする力は残っている状態です。
親御さんはこういう行動に戸惑い、放りだしたものは片付けるべきか、パソコンは本人が希望しているようだから黙って購入すべきかなど、対応になすすべがありません。この事態をどうとらえるかによって親御さんの対応は変わります。享司君は明らかな意図をもって反抗しています。明らかに親御さんに対して訴えようとしています。ならば、これをひとつのチャンスと捉え、話ができるように手紙やラインを駆使し歯話ができたら嬉しいと促し続けることです。どうしても親御さんでは話ができないなら、親せきなどの第三者に頼んでみましょう。黙って待っていても事態は好転しません。促し続けることで、「貴男のことを心配し考えている」ということを発信しましょう。見守る・寄り添うとは促し続けることです。
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