第68回
相談事例(38) 「金曜日に『月曜には登校する!』と言うけれど・・・・」 わが子の不登校を現実として受け入れて対応されている親御さんでも、やはり心の底では何とか登校して欲しいという思いをもたれるのは当然なことだと思います。マイナスに考えすぎなネガティブさが薄れてきた中3の由紀子さん(仮名)は、笑顔が出たりしてやや快適と思える自宅での生活が見受けられるようになってきました。親御さんから学校や登校の話をされることはほとんどありませんが、時折由紀子さんは金曜日の夜などに「月曜日から行けそうな気がする!」とか「月曜日から登校する!」などと親御さんに言うようなことがあるようです。しかし、実際には月曜日に登校することはありません。それが何度となく繰り返されているわけです。
やや快適な生活を取り戻してきた不登校の生徒でも、やはりネガティブさは抱え続けています。みんなのように登校できていない自分、外出もしないでスマホばかりいじっている自分、そんな自分はみんなにどう評価されているのか、本当に気にし続けています。もっとも長い時間自分のそばにいるのは両親ですから、自分のことをどう思っているのか、不登校を分かってもらっていると安心していいのかを気にかけています。
そんな中での「月曜から登校する!」は二つの側面を持っています。登校したほうが良いと思っていることは本心でしょうが、まずは金曜の夜にそう発言すると親御さんは月曜日の登校を期待するわけですから、親御さんの土日の表情がやや明るくなってきます。つまり、両親の表情をつぶさに観察している由紀子さんにとっては、両親の明るさは安心の材料となるわけです。もうひとつはアピールの傾向です。自己肯定感の低い状況の中でも、「私は登校しようと思っている」という、つまり学校のことはちゃんと考えていると言うひとつの訴えでもあります。
しかし、それらの発言が意図的であるという判断は事態をマイナスの捉える結果となります。不登校の生徒は錯綜の日々を送っています。「登校出来たらいいね!」「無理しないでね!」とそれらの発言を受け入れて、決して発言したことを守らねばならないような対応はタブーです。
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