地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第69回

相談事例(39) 「息子とコミュニケーションが全くとれない・・・」

 不登校による出席日数不足で留年が確定した高1生の聡君(仮名)。留年が確定してから聡君は部屋にこもった生活を続けています。リビングに人の気配があると部屋から出てくることはなく、食事も誰もいない昼間や夜中にリビングでとっています。親御さんは、普通の会話を心がけようとしたのですが、投げかけた言葉に返事も反応もなく無視されている感じだそうです。これからどうするのか、転校するのか、転校するならどこの高校にするのか、親御さんはいろいろ話したいと思っていますが、そのきっかけがありません。そこで親御さんが伝えたいことがあればメモをドアの下から入れたり、出かける前にリビングの机の上においたりしているのですが、返信はなく一方通行です。もうこの状況が4カ月も続いています。
 私がこの連載で普通の会話が必要であると言い続けてきましたが、普通の会話とは親子のすれ違いがない「コミュニケーションとしての会話」です。メモでしか意志を伝えられないとしたら、それは親子のコミュニケーションのあり方がいびつになっていると言わざるを得ません。電話、メモ、メール、ラインなどは確かにコミュニケーションのひとつであることに違いはありませんが、実際の会話に比べればその影響力は相当少ないと言えるでしょう。メモだけの連絡は会話の必要がなくなってしまい、結果的にはコミュニケーションの不足が日常化してしまいます。
 まず、挨拶も含めて機会をとらえては声をかけ続けることが大切です。メモで伝えた内容はドア越しでもいいですから、必ず言葉で伝えるようにしてほしいのです。早々に反応があるとは思えませんが、諦めることなく根気と覚悟を持って欲しいのです。毎日続ければ本人からの反応は必ず返ってくるはずです。「うるさいな!」と反応すれば、それでも反応の始まりなんです。その場は「ごめん!」で引き下がりましょう。このままではいけないと本人は思っていますから、無反応が一年以上続いた事例は私の相談室ではありません。ただ、お母さんひとりで継続することは大変ですので、家族での話し合いや専門の相談機関の力をかりるなど、気持ちの維持に努めて下さい。

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