地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第70回

相談事例(40) 「別室登校はしているのですが・・・」

 不登校になって3カ月が経過した中2の智也君(仮名)は、担任の先生の勧めもあってまだ他の生徒が登校していない早朝に校門までは登校することにチャレンジし、その2週間後には別室登校を開始しました。何とか毎日早朝に登校しては、別室にて養護の先生やスクールカウンセラーの先生のもとで過ごし、お昼前には下校するという生活を続けています。親御さんの心配は、別室登校を続けていればやがて自分のクラスの教室に入って授業を受けるなどの生活が現実になってくのかという言うものです。
 確かな統計はありませんが、当相談室での事例だけで言えば、中学生の不登校生が別室登校を始めてクラスの教室に復活した例は、約3割にしかすぎません。また、高校生では、別室登校に取り組んでいない学校もありますし、転校という選択しもあるので復活した例は1割未満なのです。親御さんにしてみれば、なんとか学校には登校できているわけですから、時間が経過すればやがては教室へ入ってくれると期待してしまいます。とりわけ、高校の場合は別室にて自分でプリントなどの課題に取り組む自習型が主流ですし、孤独感も強くクラスへの復活への意識が本人に委ねられている傾向があります。中学校の場合は担任以外の先生も生徒と関りを持とうとして、頻繁に別室に訪れてくれるようですし、同じような生徒が数人別室にいる状況があり、本人の孤立感はやや和らげられていることも事実です。
 しかし、その別室で教室への復活を目指して、コミニュティなどの意図的な取り組みが展開されない限り、復活までには時間がかかることも否定できません。先生が積極的に普通の会話をして本人と関係を作っていく、別室にいる生徒たちとゲームなどして和み、コミニュティを育てていく、また、クラスの同級生が休み時間などにやってきて本人と楽しい時間を過ごす、などの日常が必要になります。勉強が遅れがちになるからと、教室で行われている授業に関わるプリントなどに取り組ませることが主な内容になると、疲弊感と孤独感が強まり別室登校も拒否するようになります。親御さんは登校しているからと静観せず、積極的に学校と連絡を取り合って、別室での取り組みを遠慮されずお願いされるべきと思っています。

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