第75回
相談事例(45) 「いじめに負けないわが子になって欲しい!②」 前回、いじめが原因で不登校になり、学校の対応もあってひとまず解決したものの、復学後にまたいじめにあってしまったという相談事例を報告しました。いじめがいじる様相になってきていることは触れましたが、いじめる側はいじめた生徒の反応を楽しんでいます。いつも同じことが繰り返されます。このいじめに終止符を打つには、いじめる側がいじめてももう面白くないという状況を作り出す必要があります。それは、いじめられている生徒がいつもと違う反応を示すことです。過去の事例で言えば、うつむいて逃げ腰になるのをやめて、「何がそんなにたのしいの?」と立ち向かった生徒もいれば、笑顔を返し続けた生徒もいます。そうして、いじめられる対象から外れたのです。
不登校になって自信をなくしてしまっている子どもが、そうたやすく反応を変えることが困難であることは言うまでもありませんが、先ほどの事例は実は親御さんのわが子への対応によって可能になっていきました。それにはまず、何よりも親が味方であることを伝え続けることが大切ですから、いじめられる原因探しはタブーです。「学校は行ってなくても、元気なら嬉しい」「あなたがいるから、お母さんが頑張れる」「いろいろ手伝いをしてくれて感謝している!」など、親御さんの嬉しい気持ちをいつもしっかり伝えて下さい。親に守られているという安心感は、心の中に小さな自信と小さな気力を生み出します。そして、家出の生活が明るくなってきたらいじめる側にどういう反応するのか、その具体的な言動を教えてあげて下さい。自信の度合いによってすぐさまできるかは分かりませんが、必ず新たな言動が生まれます。励ますのではなく、わが子を大切に思っている気持ちを確かな言葉で伝え続けて欲しいのです。いじめ対策に近道はないのですから。
さて、うえまち情報誌の休刊に伴い、この連載もひとまず今回を最終回として区切りをつけたいと思います。6年間に及ぶ連載となりましたが、読者の皆さんのおかげで続けることができました。ありがとうございました。機会があればシリーズ②として書き綴りたいと思っていますし、この連載の全てを一冊の本にまとめたいとも思っています。また紙面でお会いできることを楽しみにしております。
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