第33回
相談事例⑪ 「『魔法の言葉』ってあるのでしょうか?(3)」
不登校克服には、親御さんに支えられた自信の回復が必要であることは何度も述べてきました。クラスの友達からいじめられ登校できなくなった生徒が、そのいじめ問題がうまく解決した結果が得られたとしても、そうたやすく登校し始めるわけではありません。抱える問題が解決したのだからもう学校へ行けるだろうと思ってしまうのは、残念ながら親御さんの期待に過ぎないのです。依然として不登校から一歩踏み出す自信を失ってしまっている状況は続いているわけです。
その自信の回復には、まず前回の連載で触れた「自分の存在を肯定できること」と同時に、自分の持っている力に気づかせ、自分はこれでいいと言う気持ちを抱いてくれる必要があります。自信とは「やればできる」という実感や決意ではありません。今の自分をそのまま認めることができること、つまり「今の自分でいいんだ!」という想いこそが本来の自信だと思います。そこで不登校状態であっても、自分が持っている力に気づかせてくれる存在が必要なのです。それはまさに親御さん以外にありませんが、褒めるというのはやや上から目線で評価していることになります。それよりは、マイナス的なことをプラス思考で共感し認めていくことが、自分の力に気づかせ勇気づけることにつながります。
たとえば、お母さんとのやり取りの中で反抗的であったり生意気と感じられるときがあるかもしれません。「子どものくせに!」と思うより、強い主張に「自立心がある!」と認めることができるはずですから、それを言葉に出して伝えましょう。あるいは、自分の主張をせずに意見が言えず、話をしようとしても無口な傾向があり優柔不断と感じるときには、「聞き上手であり、言葉を慎重に選びじっくり考えている!」というポジティブな捉え方でそれを言葉に出してはっきり認めて欲しいのです。何かいいところを見つけ褒めて認めようとするのは難しいかもしれませんが、我が子のマイナス的な言動に対して、プラス思考で共感することは表現を言い換えることで可能です。
ただし、わが子が過去を思い出して「あの時つらかった!」と言った場合は親御さんに素直に気持ちを伝えているわけですから、まず「そう、つらかったんやね!」と言い換えることなく同じ言葉で共感することが大切です。対応の難しさを感じられるなら、遠慮されず相談室へ連絡していただければ嬉しいです。
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