地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第34回

相談事例⑫ 「弟の不登校で兄弟関係が悪化!」

 中学校2年生の聡君(仮名)は、不登校の状況になって6カ月が経過しています。しつけに厳しい父親はわが子の不登校に釈然としない想いを持ち続け、進学校(高校)に通う兄に期待を寄せています。聡君に寄り添っているのはもちろん母親です。聡君は父親との会話などは幼いころから少ない状況ですが、同時に兄との会話などの関りも強く拒否するようになってきました。それは、兄が事あるごとに弟の不登校を執拗に責める言動を繰り返すからです。兄にしてみれば、いろいろしんどいことがあっても自分は我慢して登校している、なのに不登校の弟に母親が優しく接していることにどうしても納得できないのです。兄はイヤでも登校するのが学校という価値観を持ち続けています。
 不登校が続いてしまう原因を家庭に言及するつもりはありません。どこの家庭でも夫婦、親子、兄弟関係がうまくいっているわけではないからです。しかし、聡君の不登校を受け入れ寄り添うということは、家族みんなが受け入れることです。ぎくしゃくした関係が存在すれば、必ず誰かを非難したりそれに伴うバトルが起こったりし、その対象は不登校を抱える弱い立場(聡君)に向かうのは避けられません。兄が弟にまとわりついて暴言を吐いたりすると、もちろん母親は厳しく注意してきましたが、かえって兄が反抗するだけで事態は収まらなかったのです。バトルはネガティブな連鎖を助長します。家族内の関係が悪化するだけなのです。その状態が続けば、聡君は家庭すら居場所でなくなってしまった感を抱くのです。  こういう場合、兄に制止を求めるのは当然ですが、両親がその後ゆっくり兄と膝を交えて話し合う必要があります。日常の兄の頑張りを認め、弟と同じように大事な存在であることを伝えながら、弟の状況を例えば「弟は病院に行かなければならないほどの病気ではないけど、心は傷つき、自信をなくしてしまっていて、誰かの援助が必要な状態」であることなど、そして兄としてして欲しいと思っていることを親からのお願いとして伝え続けなければなりません。もちろんそれだけですぐさま成果が得られるわけではありませんから、家族で食事に出かけたり、楽しく過ごす機会をつくる努力が必要でしょう。そういう意味で言えば、不登校克服の家庭での取り組みは、家族関係の地道な関係修復の継続が大切なポイントになるでしょう。

< NIWA教育相談室(大阪) >
TEL.06-6191-9007/FAX.06-6191-9005
〒543-0021 大阪市天王寺区東高津町9-23 ロロモチノキビル5F
Copyright© 2011 通信制高校生徒と心の問題を抱える先生のための教育相談室「NIWA教育相談室(大阪)」