地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第35回

相談事例⑬ 「屁理屈で対抗してくるわが子!」

 不登校状態が深刻化すると、自分は周りの人や家族にどう思われているのかなどを気にし、自室で過ごす時間が長くなり、人との関係を避けようとして孤立化に陥って行きます。親御さんは何とか家庭の雰囲気を良くしようと努力され、わが子と話せる雰囲気があるとき、学校のことや外出のことなど促そうと声をかけますが、返ってくる返事は「わからん!」とかの単発の言葉などではなく、理論的な「屁理屈」が帰ってくることがあって戸惑ってしまいます。
 「通信制高校でも見学に行ってみない?」というお母さんの誘いにA君は、「通信制高校って働く高校生のために50年ほど前に始まった学校やで。そこで勉強しても学力なんてつかないよ。まあ学力社会もおかしいけど!」という答えが買って来て返答に困ったそうです。A君は既に通信制高校についてネットで調べていて知識を持っていました。不登校で留年が決まりかけていたA君は、転校できる可能性があるのは通信制高校であり、当然気になっていたのです。そんなA君に「何を言ってるの?知ってるようなことを言っているけど、何もしていないのはお前でしょ」と、親御さんはその理屈をやりこめようとします。とりわけ、お父さんにはその傾向が強い感じがします。人生経験豊富な大人ですから、子どもを論破するのは簡単です。そこでバトルが生じれば、またA君は正論で対抗しようとしますが、やがてそれは間違いなく屁理屈的になっていくのです。
 実はA君は自分を守るために必死なのです。不登校初期のころに、親御さんや先生から、学校へ行かなければならないことや将来について正論で責められ傷ついたのです。みんなにバカにされたくないと思い込み、情けない自分をさらけ出したくない想いがあります。これ以上自分が傷つかないために、守る武器として正論を持ち出すのですが、論破される結果は見えていますし、論破されてしまうと、他人どころではなく家族さえも避けなければならなくなり、孤立化はより深刻化してしまいます。
 親御さんはわが子の理論に勝とうとするのではなく、「いろいろ調べているし、よく考えているね」と認めてあげて下さい。わが子を変えようとはせず、分かろうとする受け入れる気持ちを大事にしていただきたいのです。

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