地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第36回

相談事例⑭ 「不登校 ⇒ 再登校 ⇒ 再不登校!」

 小学校6年生の美香(仮名)さんは、5年生の3学期ごろから執拗ないじめを受けながらも踏ん張りながら登校していたのですが、決定的な出来事があって恐怖感をいだき、6年生の9月中旬から不登校になりました。いじめの事実については私に話してくれましたので、両親にその内容を伝え、家庭での日常の対応についてカウンセリングし、学校への対応をお願いする方法も伝えました。
 不登校が始まったころ、母親がどのように対応したのかは、この連載の読者の方なら容易に想像がつくと思います。母親は何とか登校させようとし、美香さんは自分のことを分かってくれないと、二人のバトルは続いていました。しかし、いじめの事実を知った両親には、問題を抱えているわが子に共感し合わせる対応を理解していただいて、根気よく取り組んでいただき、同時に学校の担任とも連絡を密にされたことなどが功を奏して、美香さんは2ヶ月の不登校期間を経て再び登校し始めました。
 再登校してくれたわが子を見て、両親は自らの言動をわが子に合わせて変えることのしんどさを、何度も「本当にしんどかった、くたくたになった」と言っておられました。母親はパジャマのままで動画ばかり見たり、昼間からゴロゴロしているわが子から解放されたわけですから、「やれやれ」とホッとするものでしょう。しかし、再登校ですべての問題が解決しているわけではありません。再登校しても、クラスの雰囲気になかなか溶け込めなかったりして、相当なストレスをかかえたままで帰宅しているのです。すると、帰宅後の美香さんにいら立ちが目立ち始めてきたのです。解放感からか緩んでいた母親は、また不登校以前の言動スタイルが甦ってきて以前と同じ対応をし、バトルがおきてしまうことがたびたび続きました。そしてついに、美香さんは再び学校を欠席し始めたのです。
 再登校に踏み出せたとしても、子どもは学校でエネルギーを使い果たして帰宅しています。このエネルギーを少しでも回復させることで、翌日の登校へと繋げるのです。まだ受けた心の傷も残っています。ですから、親は大変でしょうが気を抜くことなく、再登校を実現できたころの対応をしっかりと継続してほしいのです。「無理をしなくていいよ!」そう声をかけて逃げ道を作ってあげてください。

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