第38回
相談事例⑯「大学へは入学したけれど・・・②」
通信制高校から大学進学を勝ち得た生徒が、残念ながら再び不登校傾向になり、休学や退学を余儀なくされている例が多々あることを前回に触れました。そのひとつの理由が、通信制高校時代に不登校傾向を十分克服できていない状況のまま、とりわけリアルなコミュニケーションを築くことを苦手なままに寂しいキャンパスライフの日々に強いストレスを抱えてしまうことです。
一方、サークルなどに参加し楽しい生活を始めたはずの生徒が、予想もしないストレスに悩まされる例があります。それは、歴然とした基礎学力不足です。そしてその最も顕著な例が英語に関する学力です。一般教養必須科目に英語が必ず指定されています。選択できる仏語や中国語は誰もが初めての履修ですからスタートラインは同じです。しかし、英語は過去6年間にわたって授業で学んでいるのが現実です。
全日制では、英語(コミュ英語、英語表現)は週4時間授業があり、一年間で140時間の授業を受けて4単位を取得するわけですが、通信制高校となると事情は変わってきます。同じ英語4単位を取得する場合、通信制高校では定められた授業(スクーリング)は年間わずか4時間の受講で済み、レポート(ドリルのようなもの)を年間12枚仕上げて提出すれば全日制と同じ単位を取得することができます。この絶対的な学習量の差が、明らかな学力格差を生み出してしまうのです。
期待を持って大学へ通い始めた生徒が、自分の英語の学力のなさを痛感し、みんなについて行けそうにない感を味わい自信をなくしてしまいます。そして、友人とのかかわりがなくそれが自分だけのように感じてしまえば、もはや授業への出席は苦痛以外のなにものでもない事態に追い込まれてしまうのです。
この事態を予測して、卒業時に英語の総復習や基礎学力充実に真摯に取り組んでいる通信制高校もありますが、現実は卒業させることで精一杯の状況にそこまで支援できないのも無理はありません。子どもが「ついて行けそうにない!」など言ってきたら、近くの個別指導の塾に問い合わせ相談する、あるいは、自宅でできる格安の映像授業受講もありますから、すぐさま手を打つことは必要です。もちろん、卒業した通信制高校の先生に相談できるなら遠慮せず連絡を取りましょう。夏休み終了までに集中的に取り組めば、相当な自信回復が望めるのも間違いありません。
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