地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第39回

相談事例⑰ 「気にさわることは言わないほうがよい?」

 不登校生が自宅で両親に強い反発を繰り返すとき、親御さんはわが子に気に障ることは言ってはいけないのではと腫物に触るような対応が続いてしまうものです。悟君(仮名)は中学3年生、不登校になって4か月、外出もほとんどせず自宅でゲーム三昧の日々を送っています。学校からは高校の進路調査などの通知が届いていますが、どうしたいと思っているのか、自ら語ることもない様子です。

 食事の時にお父さんが豆腐を食べている悟君に何気なく「豆腐をよく食べてるけど、納豆も体にいいんだよ」と声をかけると、「俺は豆腐を食べているのに、勝手に納豆を押し付けるな!」と怒り、食事を投げ出して自分の部屋にこもってしまったようで、こういうやり取りが日々繰り返されているのです。

 悟君は実は納豆を勧められたことそのものを怒っているわけではありません。不登校生活を続けてしまっている自分のことをまだ両親が分かってくれていない、つまり自分の惨めさやつらさを理解してくれているとは思えないことに反抗していると言えます。まだ自宅で過ごす居心地の良さ、言い換えれば快適度が少しも実感できていないのでしょう。この解決には以前からお伝えしているように、普通の会話を心がけるなどの対応が必要ですが、もうひとつ大切なことがあります。

 それは、声をかける内容ではなく「言い方」です。お父さんの言葉は、たとえ何気ないものであっても威圧的に捉えられることがよくあるものです。特にお父さんとの関係があまりうまくいっていないならなおさらです。決めつけた発言、断定的な言い方、「お前のために・・」などの恩着せがましい発言などには、強い反発が返ってくることは避けられません。腫物に触るような気づかいは必要ありませんが、反発が続いているときはなるべく控えめな言い方が必要でしょう。先ほどの納豆に関する発言で言えば、他人の意見を伝えるように「納豆もいいらしよ」、あるいは自分の意見としてなら「納豆もいいとお父さんは思うけど」のような言い方はどうでしょうか? また、反発してくるのは、お父さんへの期待がまだあるからです。「押し付けてばかりで、ぼくのことをちっとも分かってない!」という怒りの言葉の裏返しは「分かって欲しい」という強い訴えなのです。

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