地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第43回

相談事例㉑ 「不登校の理由が分からない・・その裏に?」

 中学生の自殺が、実は学校の先生の執拗な叱責が原因であったと痛ましい報道がされています。もはや叱責を超えて「いじめ」であったという認定は、あまりにも衝撃的です。こういう事件が起こるたびに、学校や行政は悲しことに最初にその責任を認めようとしません。先生はもちろん「いじめはあってはならない」と思って取り組んでいるのでしょうが、同時にある「私のクラスでは、私の学校では、絶対あってはならない」という意識が事実否認と責任回避を助長しているのでは思います。

 さて、不登校の原因が過去のいじめられた経験にある事例はたくさんあります。「いじめをなくそう!」と学校ぐるみで取り組んでも、いじめが無くなるわけではありません。ならば、いじめ対策は何よりも早期発見に全力を注ぐべきなのですが、その具体策を模索しているのが現状のようです。

 いじめられたことにより、友達関係が壊れ、クラスの仲間を信頼できず不安が増大し、ついに不登校になった例は原因やきっかけがはっきりしていると言える事例です。ところが、相談室での不登校相談では原因がはっきりしないという事例もたくさんあるのです。子どもに聞いてみても「分からない」と言うし、担任に問い合わせてみても「思い当たらない」という回答です。しかし、不登校はストレスが子どもの心の中で飽和状態になったSOSの結果です。人がストレスを感じるのは、ほぼ人間関係でのことですから、不登校の原因は生徒間や生徒・先生間でのストレスであると言えるのです。

 「なぜ、不登校に?」という問いに、「成績が落ちたことを気にしているらしい」「部活でいくら練習してもうまくならないことを悲観していることかも」と親御さんの答えが返ってきます。でも、それらはひとつのきっかけであって原因ではありません。成績が落ちたことや部活のことで実は人間関係が以前のようにうまく保てないことが続きストレスを感じ始めるのです。そして過去の生活を詳しく聞くと、必ず「友達関係を作るのが苦手だった」というところに行きつきます。なぜ、以前から苦手であったのか?
 そこには子どもが抱える発達障害の問題が見え隠れしています。次回は、原因がはっきりしない不登校の裏に潜むADHDなどの発達障害について触れていきたいと思います。

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