第45回
不登校と発達障害⑤ 「ADHDへの行動療法」
前回も述べましたが、ADHD傾向の子どもに対する投薬治療は、当面の日常生活の不適応行動を解消するうえではその効果を期待することはできますが、だからと言って投薬に頼っていても不適応な行動が適応行動へと変化していくわけではありません。大切なことは、自発的に自分の行動や感情をコントロールできるようになることですから、具体的な支援を続ける必要があります。
まず何よりも望ましい行動(適応行動)と望ましくない行動(不適応行動)が何であるのか、行動場面で具体的に示していく必要があります。そのためには、適応行動がとれたときは良かったことをしっかり認めてあげ褒めることです。不適応行動が出た場合は、厳しすぎないように行動を諭しますが、あえてあまり働きかけすぎないほうがベターでしょう。
小学生などの場合は、どちらの行動に対しても得点化していく手法が効果的とされています。例えば、宿題を忘れずにできたら+50点、兄弟喧嘩をしなかったので+30点、反対に学校に忘れ物をしてきたので-30点、片づけがまったくできなかったので-50点などと決めておくことで、自らの行動の適応性を認識することを促すことができます。自らの判断で適応行動がとれないADHD傾向のこどもは、繰り返しほめられたりプラスの得点をえるようになると、意識的に認めてもらえる行動をとろうとするようになります。もちろん得点化していますので、100点たまるごとに、なにかご褒美のようなものを与えるなどのことも約束してくことも大切です。しかし、不適応な行動に対しては叱責ではなく、あっさりと原点を伝え、こどもの自尊心を損なわないような配慮も必要です。
ただ、その成果が急激にみられるわけではありませんから、長いスパンで見守るつもりで取り組んでいただきたいのです。また、子どもが生活をしやすい、あるいは学習に取り組みやすい環境づくりも必要です。例えば、学習のときにはテレビや音楽をつけない工夫や、部屋の片づけを促すときには、どこに何をしまうのかなどがわかりやすくなるように片付け場所を書いて掲示しておくなどです。
見守り寄り添うとは、具体的な支援方法であることをご理解ください。
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