地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第46回

相談事例㉒ 「食事を部屋へ運んでと頼まれるのですが?」

 不登校3カ月が経過した高校1年生のM君は、家族と食事をすることを嫌い、時間をずらして食べることが増えてきていましたが、ついに「食事は部屋に運んでほしい」と言うようになりました。本人の希望通りにすべきなのか、それとも引きこもりへの歯止めとして断るべきなのか、お母さんは困り果てています。

 食事時にたとえ会話がなくとも、食事は家族が顔を合わせる機会であり、ともに食事をする行為は、コミニケーションへの大切なアプローチになるはずです。「自分の部屋で食事をしたい」という希望が言葉としてでてきたら、まずためらわず理由を尋ねましょう。そして、やはり引き留めることに力を注いでほしいと思います。

 理由を尋ねても明快な答えが返ってこない場合があるかもしれません。不登校でいる自分を気にしている本人にとって、家族の何らかの態度が気にいらないのか、何気ない言葉で傷つけられた思いがあるのか、家族と顔を合わせたくないという強い意思表示とも考えられます。かたや確かな理由が返ってきたなら、しっかり受け止め本人の気持ちが少しでも楽になるように対応しなければなりません。しかしいずれにせよ「食事だけは一緒に食べたい」とお母さんの気持ちとして、またお願いとして伝えてほしいのです。「食事は家族でとるべき」とか「それが当たり前」などと、正論のように伝えるのはタブーです。大変かもしれませんが、部屋に食事を運ぶことは容易に受け入れないで欲しいと思います。なんとか踏ん張っていただかないと、「部屋食」は相当長く続くと覚悟が必要です。

 食事時に時間通りに出てきてくれないと分かっていても、必ず声をかけて下さい。「言っても無理」という諦めが部屋食に繋がります。返事がなくても少しは待ちましょう。来てくれなければ「先に食べるよ」ともう一度声をかけて食事を始めて下さい。それが「一緒に食べたい」というお母さんの願いや気持ちを伝える大切な手段です。
 部屋食を望むのは、まだ不登校の自分が家族に受け入れられていないと感じているからでしょう。日常の会話とともにいつも一声かけることを続けて下さい。

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