第47回
相談事例㉓ 「年間数日の登校で単位が取れるって本当ですか?」
年度末をむかえ中学卒業の不登校生徒の進学先として、また出席日数が足らずに留年が確定してしまった高校の不登校生の転校先として通信制高校が選択されています。この時期の不登校学校相談会では、多くの保護者や生徒が通信制高校のブースで相談されているようです。わが子の不登校の状況から、保護者の方は登校日数の少なさが進路選択の根拠になっているようですが、登校日数は学校によって様々です。毎日の通学を促す通信制もあれば、週2日通学コース、あるいは在宅学習コースなど、生徒の状況に合わせたコース設定をしています。
保護者の方には、通学日数の違いがあるのに規定の単位は取得できるのかという疑問が当然生じてきます。通信制高校における単位取得の条件は、スクーリング(授業)の規定時数の受講、レポートの規定枚数の提出、そしてテストの合格です。登校日数に関係するのは、スクーリングの受講時数とテストです。スクーリング及びテストは、必ず学校に登校して受講しなければなりませんが、その日数は最も少なければ年間4日~6日ぐらいです。レポートは自宅で仕上げることは可能ですから、年間数日の登校で単位取得が可能になるというのが通信制高校のシステムです。
したがって、年間数日の登校だけで卒業に必要な単位取得ができるのかという疑問には、可能ですと言わざるを得ません。しかし、不登校経験者の生徒に必要なことは、高校を卒業すると同時に不登校克服をなし得る確かな高校生活です。先生と語り合い、仲間と過ごし、楽しく意味ある高校生活を過ごして欲しいと保護者は願い、実は生徒自身もそんな生活を心から望んでいるはずなのですから、やはり、通える通信制高校を選択してほしいと願ってやみません。
進路先を選択するとき、不登校経験生徒は日々通学する自信を持ち得ていませんので、「年に数日ならば」と通学日数の少ない学校を選択しようとするのも当然でしょう。しかし、それは自信と安心がない表れに過ぎず、ゆっくり話し合っていただければ、わが子が望む学校生活が「年数日」ではないことが分かっていだたけると思います。
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