地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第48回

相談事例㉔ 「中2生不登校、高校進学先を探しているのですが?」

 関西圏では不登校生徒のための学校相談会(通信制高校が集まる相談会)が年間20回以上開催されています。地域によって参加者数に差はありますが、平均100~200組の保護者・生徒の参加があります。この年度末の2月や3月の相談会では、中学2年生の不登校生徒の保護者の相談が年々急増しています。4月には新3年生に進級、いよいよ高校進学が現実の問題となるわけですから、不登校生を抱える保護者の方のご心配ももっともでしょう。通信制高校のブースに座り、各校の情報を得ることは必要なことかも知れません。単位取得のシステムや現状を理解されることは、今後の進路選択の材料となることも確かです。

 参加者の中には通信制高校の各校の資料を集めて、子どもが何時でも見られるように自宅のリビングなどに置いておこうと考える保護者の方がたくさんおられます。そこには保護者の三つの思いが存在しています。ひとつは、高校の資料を見ることで、少しは高校進学について考えて欲しいという思いです。また、このままの状況では全日制高校への進学が厳しくなるかもしれず、通信制高校の存在を知っておいて欲しいという思いです。そして、できる限り早いうちに進路先を決めたい、はっきりさせたいという思いでしょう。

 しかし、子どもはその思いを素直に受け入れてくれるとは限りません。3年進級を目前にして子どもは既に高校進学に想いを巡らせていますが、自信もなく不安ばかりが募る中で、高校の資料を目にすることはプレッシャーとなり、その話題から逃れようとします。また、不登校であっても彼らの9割以上は、実は全日制高校への進学を望んでいます(当相談室での聞き取り結果にて)。そこに通信制高校の資料を見させることは、子どもに「全日制は無理!」と言っていることに他なりません。せっかく家庭内で明るい振る舞いが見受けられるようになったにもかかわらず、また暗く沈み込むことに繋がりかねません。

 高校進学のことは焦らず、3年生になって学校からの進路希望先調査まで待ってください。その調査が届いたとき、わが子とじっくり話せる親子の関係を作ることが今は大切です。さあ春休みです。家族で花見に外出するなど親子が一緒に楽しめる日を一日でも多く過ごして下さい。

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