地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第49回

相談事例㉕ 「フリースクールなどにでも通ってほしいのですが?」

 不登校期間が長引いてくると、親御さんはこのまま自宅で快適に過ごして復学への気持ちがなくなってしまうのではないかと危惧されるものです。昼夜逆転はしていないものの、日中にゲーム依存ではないかと思われるほどわが子のゲーム三昧の生活を目の当たりにして、復学は無理でも適用教室やフリースクールなどに通ってくれればとほのかな期待をいだかれるのも当然のことと思います。見守る・寄り添うことは大切と分かっていても、外へ出る生活をいつどのように促せばいいのか、その言葉かけに迷っておられる事例がたくさんあります。

 確かに外への生活を促すことはとても大切ですし、促すことができるのは定期的にカウンセリングなどを受けていない限り親御さんであることは間違いありません。しかし、不登校のわが子が食事の量が少なくなったり、ネガティブな発言を繰り返したりしている暗く沈み込んでいる状態の時に、あれこれ促すのはお勧めできません。できる限り外へ出る機会があることや第三者と関りをもつ機会を作ることが克服への近道であることは言うまでもありませんが、それは親御さんの言葉かけなどを受け入れることができる状態になっているときこそ有効な手段になってきます。つまり、自宅での毎日がやや快適な状態になっている必要があるのです。
この連載でも何度か触れてきましたが、そのためには普通の会話を心がけることや明るく接することなどが必要になり、学校へ行かなければならないプレッシャーから解放させてあげることが何よりも大切です。自分のことを悲観的にとらえ考えすぎてしまう世界にいるわけですから、この時期に「フリースクールにでも行ってみたら?」などと促すことは、たとえ言葉に気をつけたとしても「行きなさい!」と言われていると子どもは受け取ってしまうものなのです。

 したがってタイミングはきわめて重要です。やや快適になって来れば、子どもは例えば、「今夜は○○を食べたい」「日曜日にスーパーへ行きたい」など何か希望を言ってきたり、「ああ、暇や」「何もすることない」などと言ってくることもあります。これらは快適になってきたサインです。こういう言葉が出て来れば、いよいよいろいろ促す話ができることになります。次回は、促す具体的な言葉かけについて触れたいと思います。

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