地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第50回

相談事例㉖ 「フリースクールなどにでも通ってほしいのですが?②」

 不登校期間がやや長引き、その間、家庭内で過ごす気分がやや快適なってくれば、いよいよ次の行動を促す時期であることは前回に触れました。不登校克服に向けて必要な行動は、外出の生活があること、第三者との関りがあること、そして同年代に近い集団での生活があることのこの3点であることは言うまでもありません。親御さんも含めて私たち大人ができることは、不登校生徒に対してこれらの機会をどう作っていくのかということです。まず、外出を促すことについて考えてみましょう。

 家族で食事に行く、お父さんと釣りに行く、お母さんと買い物に行く、興味あることの習い事を始めるなど外出の機会をつくる方法はたくさんあります。「普段外に出る機会がないから、みんなで食事に行こうよ」という誘い方は、わが子のためと思っての言葉かけであっても、本人にすれば「出かけなさい」という命令として受け止めてしまいます。外出していないことは本人も大変気にしていますから、「貴方のために」という意味合いで言われれば、拒否反応を示すでしょう。「行ったほうがいいよ」というより、「みんなで行きたいから、貴方も付き合ってよ」とか「貴方と久しぶりに一緒に行きたいの」などと、気持ちを伝えるような言葉かけが大切です。拒否されるとことが予想されても、そこで諦めるのではなく執拗に声をかけ続けて欲しいです。なぜなら、本人は親御さんからの指南を待っているのではなく、自分を迎え入れてくれる暖かい言葉を待っているからです。誘ってもし拒否されたら、その場は「残念やわ!」と軽く受け流して下さい。

 「今何がしたいか」を聞いてみるのも外出へ繋がる機会になります。過去の相談事例で、ダイエット希望でフィットネスクラブに週2回通い始めて3ヶ月で復学した女子高校生がいました。通い続けることで、まず自ら外出する行動が生まれ、人目を気にする気持ちが薄らぎます。クラブへ行けば指導者がいて、会話をかわすことで第三者とのつながりがあり、今日の出来事と体重の変化を親御さんに伝えれば親御さんも「良かったね!」と言葉を返すでしょう。その繰り返しによって、本人はクラブに通っている自分を応援してくれていることに感謝と安堵を感じ始めます。そこに、少しの自信回復と次の行動への少しの意欲が芽生えます。言い換えれば、「このままではいけない」と言う強い気持ちから、「今でいい」という自分を肯定する気持ちが生まれてくるのです。そこが次への行動のスタートラインです。

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